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2022年07月12日

市原ゼミが「動物殺処分0の実現」について考えるため、山猫庵動物福祉センターを訪れました

この授業では拓殖大学近隣の歴史的文化遺産や街の情報を集め、多様なかたちで発信していくことを主としています。その中で、論文の書き方をマスターする一環として、情報収集のスキルを高める活動をしています。今回、授業でテーマとしたのは「動物殺意処分0の実現」です。これについて本学図書館で資料収集後、文京区小石川図書館や国会図書館などで資料を探してきました。しかし、深層部分は全く分からず考察は滞りを見せていました。そこで、東京都をはじめ日本の実態を学ぶため、本学の近隣にある動物福祉施設「山猫庵動物福祉センター」にご協力いただき、センター代表の矢野眞由美さんに話をうかがうことにしました。
 
まず、驚いたのは「動物愛護」に拓殖大学第二代学監である、新渡戸稲造先生が関わっていたことです。正しくいえば、新渡戸先生の奥様である新渡戸萬里(マリー・エルキントン)氏の功績が日本の動物愛護の精神に影響を与えていることがわかりました。
1980年代前半にイギリス、後半にはアメリカで動物虐待防止に関する活動や法律が制定されました。日本では675年 天武天皇「天武の勅令」や江戸時代「生類遺棄禁止令」「生類憐れみの令」「牛馬屠殺禁止令」などはありましたが、本格的な動物愛護に関する思想はイギリスやアメリカでの動物愛護の精神の広まりをみせてからのことでした。1902年、広井辰太郎氏が「動物虐待防止会」を設立され、それを受けて、1908年に「動物愛護会」設立されました。1915年には、新渡戸萬里氏・バーネット大佐夫人による「日本人道会」が設立され、1948年にはガスコイン英国大使夫人などによる「社団法人日本動物愛護協会」が設立されました。拓殖大学に在籍しているのにもかかわらず初めて知ることばかりでした。
 
こちらからは、20個ほどの質問をさせていただき、矢野さんの考えもうかがうことができました。その中でも一番、皆さんにお伝えしたいのは以下の4点と飼い方についての意識改革です。私たちは事前調査で、「野良犬・野良猫に無計画・無責任なエサやりをしない」「今ある命を愛おしむためにも飼い犬・飼い猫には繁殖制限措置を施す」「飼い始めた動物は最期まで飼育する」「飼い犬・飼い猫は迷子にさせない」ことを資料から学んできました。矢野さんは、「外暮らしの猫を増やさないためにも無責任な餌やりをしないこと、狂犬病を持つ犬の問題もあり、外に放置はしないこと」をお話しされていました。特に、「外に放置する」ことについて、猫を中心とした動物愛護の視点からお話をうかがうことができました。猫は、「自由にさせることがストレスもなく幸せだろう」と思われがちです。しかし、外に出された猫は、ノミやマダニに食われたり、変な病気に感染したりする可能性もあります。また、矢野さんの言葉をそのまま用いますと、「猫が外にいてはいけないのは、公衆衛生を守るため、地域の野生動物が猫に捕食、捕殺されないため、これは地域の生態系のバランスを守るため、また、猫自身の事故防止、感染予防、家に病気を持ち帰り人獣共通の病気を防ぐため」とのことです。
 
矢野さんからは、「「動物殺処分0」実現とありますが、殺処分0を掲げることは社会に誤解を与えることとなります。動物の問題は人の福祉と連動していますので、人の暮らし、福祉を豊かにすることで動物の問題も改善されます。0目標ではなく、生態系の問題、猫が外の野生動物を捕食捕殺する問題は世界的に大きな問題となっておりますので、猫を完全室内飼育にすることが大切になります。私どもの目標は猫の完全室内飼育、他の生きものにも関心を持つこと、生きものの放流や飼育途中で遺棄しないこと、生態保全でもあります。」というメッセージをいただきました。
 
山猫庵では猫たちが室内飼育され、みんな穏やかにのんびり生活していました。
このゼミには国籍が異なる学生が在籍しており、各々が自国と比較しながら考察していました。履修者が全員一致見した意見として、「見学やインタビューから学んだことを多くの人に発信していく必要がある!」という使命感が生まれた課外授業でした。

山猫庵動物福祉センターホームページ

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