FACULTY OF COMMERCE
商学部NEWS

交通論の授業で、現役外航船員の方による商船と海賊についての講演会を実施しました

2020.12.10(木)
NEWS  
商学部の専門科目「交通論」の授業の一環で、去る12月9日、海運に関する業界団体である(一社)日本船主協会海務部の上杉洋平氏に「商船と海賊-航海士と海賊の脅威-」と題した講演を行っていただきました。上杉氏は(株)商船三井から出向中の現役外航船員(一等航海士)であり、コンテナ船やLNG船をはじめ11隻の乗船経験をお持ちです。講演は(一社)日本船主協会のオフィスからzoomによるオンラインで行われました。講演のなかでは、まず外航海運に関する仕組み、さらには国際貿易が円滑に行われるためには海の安全が重要であることの大切さが説明されました。次いで、航海士(船員)の制度と仕事について、船員ならではの実体験を交えてお話をいただきました。
さらに、漫画やアニメの世界とは異なり、2020年になった現在も海賊は世界の海に多数存在し、今年だけでも172件の海賊事件が発生しているなど船舶通航上の大きな脅威となっていることについて説明をいただきました。ここから、海賊が多発してきた、そして現在でも多発しているアフリカ・アデン湾沖、マラッカ海峡、西アフリカ地域における各国政府の対策と地域的な動向、さらには個別船舶の対策について経験談を交えて述べていただきました。
内容は専門的なものも含め、現状に加えて今後の可能性についても言及がなされるなど中身の濃い講演となりました。受講した学生からも「自分の生活に欠かせない海運だが、常に危険と隣り合わせだということを知ることができた。また、自分は家族と過ごすお正月やクリスマスなどにも海の上でお仕事をされていて感謝しなければならないと感じた。」「海賊の話を聞ける機会はなかなか無いので貴重な経験だった」「海賊というものは一つのくくりだと思っていたが地域ごとのに狙うもの目的が違うということに興味を持った」などのコメントが得られました。海賊の話は交通論の授業でもとくに学生の興味を引いた内容であり、オンライン授業ながらも、実務者から経験に基づく話を聞くことができ、授業で学んだ内容をより深める上でもいい機会となりました。
(文責:松田琢磨)

商船と海賊についての講演会01
講義を行う(一社)日本船主協会 上杉氏

商船と海賊についての講演会02
西アフリカの海賊の状況に関して説明を行う上杉氏

商船と海賊についての講演会03
海賊が現在も脅威であることを改めて喚起する講演の最終メッセージ