FACULTY OF COMMERCE
商学部NEWS

【潜道ゼミ】味の素のCSRおよびコンプライアンスについて、講演が行われました

2023.07.03(月)
ゼミNEWS  
2023年6月5日(月)、商学部潜道ゼミナールにおいて、味の素株式会社 法務・コンプライアンス部 見里朝士氏、長瀬 誠氏による講演会が開催されました。
 
味の素は1909年に創業され、以来、おいしさと健康を追求し、現在では世界の様々な国に進出しています。そして、味の素グループでは、『アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献します』という志を掲げ、近年では食品だけでなく、アミノ酸を活かした半導体の絶縁材をはじめとする電子材料事業も展開されています。
 
まず、コーポレートガバナンス(企業統治)とは何かという問いからはじまり、その後、企業の社会的責任(CSR)についてご説明くださいました。続いて、戦略的CSRとして位置づけることができる、味の素のASV(Ajinomoto Group Creating Shared Value)についてお話いただきました。ASVとは、 2011年に米国のマイケル E. ポーター教授とマーク R. クラマー氏が提唱した、CSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)を基にし、自社の事業を通じて社会が抱える課題や問題に取り組むことで社会的価値を創造し、その結果として、自社の経済的価値も創造するという企業としての戦略的な方針です。

また、味の素は公益財団法人 味の素ファンデーション(TAF)という財団を創設し、財団を通じてベトナムで栄養士制度創設に携わるなど、食を通じて、世界において多くの社会貢献活動を展開されています。
 
さらに、味の素でコンプライアンスにも力をいれていらっしゃるそうです。1997年の不祥事の後には、AGP(Ajinomoto Group Policies)を定めました。AGPは新たなコンプライアンス推進活動としてできたもので、味の素グループ各社、およびそこで働く一人ひとりが順守すべき考え方と行動の在り方を示すと同時に、誠実に順守することを全てのステークホルダーに約束するもので、個人の規範を重視すると共に、トップの姿勢や発信が大切であると語ってくださいました。また、「内部通報制度」により企業の自浄作用を促進することの大切さを強調されました。
 
ご講演の後には、不正が起きやすい状況に対し、どのような対策をすべきかについてグループワークを行いました。これまで自分事として考えたことがなかった「企業の不正」について、一人ひとりが深く考える機会を得ることができ、また最後に各グループの発表を行いそれに対するコメントも頂き、大変、勉強になりました。
 
今回のご講演を通じ、企業全体の経営倫理を維持することの難しさ、そして内部通報制度やAGPを用いて課題に対する「気づき」の大切さを知りました。さらに、AGPは、日本企業の間で多いと言われる「会社のために」という理由から起きる不正を減少させることにも効果があるというお話が、特に印象に残りました。
 
また、私たちも、社会で仕事をする際、直面するかもしれない不正や、組織の倫理的な活動としてのCSRがとても身近なものとなりました。
 
最後に、本講演会は、一般社団法人 経営倫理実践研究センターの寄附講座として開催できたことを潜道先生に伺いました。貴重な機会を頂戴し、どうもありがとうございました。

文責:潜道ゼミナール
八野秀斗(経営学科3年/大阪市立西高等学校出身)   
日下裕貴(経営学科3年/神奈川県立上溝南高等学校出身)
 
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味の素株式会社 見里朝士氏のご講演
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学生たちのグループワーク発表