FACULTY OF COMMERCE
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会計学科

会計学科

Teachers
会計学科には専門科目を担当する専任教員が10名います。先生方に会計学科の学びのポイントや授業の特徴等について、Q&A形式で聞いてみました。
1
Question
会計とは何ですか?
宮川先生:会計がなかったらどのようなことが起こるのかな?と考えてみましょう。頑張った成果が最初と最後でどう変わったか、どれくらい儲かったかを見るためには会計の知識が必要です。

李先生:会計は情報と考えています。人が健康診断をするのと同じように、会社も決算を通して一年間の経営成績を把握する必要があります。管理会計の観点からは、その情報の信頼性も大事だけれど、役立つ情報とはどのようなものかということも学びます。
2
Question
簿記とは何ですか?
稲葉先生:会社が取引をしたときに「仕訳(しわけ)」をして会計の言葉に翻訳します。そして、「現金」とか「売上」の帳簿に取引を記録して、一年の終わりに集計して「財務諸表」を作ります。簿記は帳簿記録のことです。
3
Question
簿記と会計はどのように関連していますか?
岡嶋先生:簿記はビジネスの言語として位置づけられています。

宮川先生:簿記の素養がないと会計学を学ぶのが難しいので、1年生の時に簿記を学びます。簿記の考え方をベースにして広く会計の専門科目を展開していきます。2年次に勉強する会計学総論も簿記の会計処理の背景にある理論を学びますね。拓殖大学商学部では、約120年前に設立された当初から簿記が必修科目になっていました。
4
Question
会計学科の法律科目について教えてください。
松田先生:税法については、企業に勤めるとしても会計専門職になるとしても税法の知識が必須です。そのため、会計学科の学びの中で税法科目を展開しています。

藤田先生:本学では政経学部法律政治学科の中でも法律科目を展開しています。政経学部では憲法、民法、刑法といった基礎法を扱い、商学部会計学科では税法と会社法を開講しています。商学部で学ぶ法律科目は公認会計士試験や税理士試験で必要となる科目です。

中村先生:商学部で学ぶことによって、一つの取引に対して、商法のとらえ方、税法のとらえ方、現行の会計制度のとらえ方、ファイナンスの観点からのとらえ方を習得することができます。
5
Question
商学部の学びと会計学科の学びはどのような関係にありますか?
宮川先生:「商学」を学ぶ上で会計学はベースとなっています。会計を学べば実社会でも目標を明確に設定できるようになります。また、簿記は世界共通のビジネス言語です。商学部が目指す「実学を身につけ、グローバル化の進むビジネス社会で活躍できる人材」になるには会計情報の役割や企業法制度の仕組みを修得する必要があります。
6
Question
会計学科で学ぶと4年後にどのような能力がつきますか?
宮川先生:会社の問題を数字で理解できるようになります。そして会計情報から原因を探ることができます。

清松先生:決算書を作ったり、読んで活かすことができるようになります。そうすると、例えば就職活動や社会人になってから取引をするときなどにどのような会社が良い会社なのかを会計情報を使って分析できる能力が身に付きます。

稲葉先生:経理職だけではなく、営業職に就くとしても会計の知識は必須ですね。この商品の損益分岐点はいくらだから、ここまでは値引きできる等、会計の知識があれば判断することができます。

中村先生:ファイナンスだと経営改善の視点が身に付きます。
7
Question
宮川先生が担当している「国際会計論」では何を学ぶのでしょうか?
宮川先生:国際会計論では、米国会計基準および国際財務報告基準の理解を通じて、日本の会計基準との比較をおこない、それぞれがどのような会計思考により形成されているかを解説します。会計は経済活動のインフラです。どのような会計基準を設定するかは経済活動の有り様に直結します。国際会計論では、その端緒として国際会計検定(BATIC)のアカウンティングマネジャーレベルの修得を目指します。
2020年度前期は,オンデマンド型授業をおこないました。不慣れなこともあって,履修者には迷惑をかけた部分もあったかと思いますが,できるだけ普段と変わらない授業進行をおこないました。課題が多くなったため,履修者は大変だったかもしれません。
8
Question
鈴木先生が担当している「財務会計論」では何を学ぶのでしょうか?
鈴木先生:今や企業の財務諸表は連結財務諸表が当たり前であるので、連結財務諸表の作成を中心に取り上げ、学修します。その前提として必要となる税効果会計、外貨換算会計、キャッシュフロー計算書に関する基礎知識も随時復習しながら、進めていきます。
9
Question
岡嶋先生が担当している「会計監査論」では何を学ぶのでしょうか?
岡嶋先生:証券市場の健全性と透明性を支える財務ディスクロージャー制度は公認会計士が提供する監査サービスによって支えられています。公認会計士が行っている財務諸表監査がどのような社会的役割を担っているのか、どのような特徴を持っているのか、さらに、どのような課題に直面しているのかを学びます。
10
Question
清松先生が担当している「経営分析論」、「財務諸表分析論」では何を学ぶのでしょうか?
清松先生:経営分析論と財務諸表分析論では、会社の会計データなどから、その会社が効率よく利益を獲得しているのか、その会社は資金的に安全なのかどうかなどを分析する手法を学びます。経営分析論は入門編として、財務諸表分析論と連続性を持たせて展開しています。
11
Question
中村先生が担当している「コーポレートファイナンス」、「会計学特殊講義C/D(FP初級)(FP中級)」では何を学ぶのでしょうか?
中村先生:コーポレートファイナンスでは、会社経営の実態をお金の流れから分析します。この際には、損益計算書や貸借対照表などにある数字を利用します。

会計学特殊講義C/D(FP初級)(FP中級)では、パーソナルファイナンスを学びます。パーソナルファイナンスでは、家計の実態をお金の流れから分析します。この分析を行う専門家をFP(ファイナンシャル・プランナー)といいます。FPは会社と同じ様に、家計の損益計算書や貸借対照表を作成して、改善策をアドバイスします。
12
Question
李先生が担当している「管理会計論」では何を学ぶのでしょうか?
李先生:管理会計論では、企業経営において会計情報をどのように活用するかを学びます。企業経営において直面する意思決定や業績管理などの問題について、会計情報がどのように役立つかを学びます。
13
Question
稲葉先生が担当している「税務会計論」では何を学ぶのでしょうか?
稲葉先生:会社が支払う法人税はどのように計算するのか、その背景にある理論は何かということを学びます。会計と税は密接に関係していて、税は会計に影響を及ぼしています。税務会計論を学ぶことで、会計上の利益から課税所得が算定される過程においてどのような影響があるのかを学修することができます。
14
Question
藤田先生が担当している「会社法」では何を学ぶのでしょうか?
藤田先生:会社とは何か、会社法上の会社の種類は何があり、どのような組織になっているのか、また株式会社の設立は、どのように行うのか株式とはどういうものかといったことに関し、法律的な面から学びます。

15
Question
松田先生が担当している「所得税法」では何を学ぶのでしょうか?
松田先生:所得税法の授業では、身近な税金である所得税について、税金の額の計算の仕方やいろいろな仕組みについて学んでいきます。所得税法には、どうしたら公平な仕組みになるだろうか等々の観点からさまざまな工夫や配慮がなされています。それらを学びながら所得税の金額計算の基礎もあわせて習得することを目指しています。
16
Question
会計学科の学生はどのような資格を目指していますか?
宮川先生:日商簿記検定、全経簿記検定、ビジネス会計検定、公認会計士、税理士、米国公認会計士、国際会計検定(BATIC)、FP、証券アナリスト、中小企業診断士、建設業経理士、宅地建物取引士、法人税法能力検定など多様な資格を目指している学生がいます。

稲葉先生:国税専門官を中心とした公務員試験に挑戦する学生もいますね。
17
Question
先生方のゼミナールではどのような学修や活動をしていますか?
鈴木先生:3年次には「有価証券報告書」を題材とした財務諸表分析を行っています。複数人でグループを形成し、業界を定めいくつかの企業を選択して、期間比較・企業間比較を行いながら分析レポートを作成します。その前段階としては、「ビジネス会計検定試験2級」のテキストを用いて発表形式により分析の基礎知識を学修します。4年次にはゼミナール論文(卒業論文)を課しています。

宮川先生:私のゼミナールでは、外部の教材をつかって、株式投資の模擬体験をしてもらっています。株価は景気の先行指標と言われています。関心のあるテーマを設定しグループワークを通じて業界研究をしながら、株価がさまざまな要因で変化することの理解を広げてもらっています。そのなかで会計情報の果たす役割や限界を学修してもらう狙いがあります。

岡嶋先生:ゼミナールでは会計学の基礎テキストの輪読をしています。輪読を通じて、テキストを精読し、理解するスキルを身につけます。それを前提として、問題意識をはっきりさせるためにディスカッションを行います。輪読が終了した後は、あるトピックに関し、グループごとに分担しながら調査研究をして、最終的に報告書形式にまとめます。直近では、東芝不正会計を取り上げました。

清松先生:私のゼミナールでは、簿記検定試験や公認会計士試験などの資格試験を受験する学生が多いため、それらの試験対策も兼ねた簿記・会計の議論を中心にしつつ、一部の学生は、就職を希望する業界の経営分析を行っています。

中村先生:3年ゼミナールでは、前期にFP3級の学修をして9月のFP試験で全員合格を目指しています。後期にはFPの視点からパーソナルファイナンスに関する課題の解決策をグループ論文として作成し、ゼミナール大会で発表しています。4年ゼミナールでは、各自あるいはグループごとに卒業論文の作成をし、報告をしてもらいます。
Q17-01(左)ゼミナール大会(会計学分野)全体集合写真。
Q17-02(右)2018年度のゼミナール大会では「中小企業の事業承継」のプレゼンテーションと「持続可能な社会の実現」のプレゼンテーションで第1位と第3位に入賞。
藤田先生:私のゼミナールでは、まず会社法の規定がどのように具体化されているかを理解するために、学生一人一人が選んだ企業の定款を見て、会社によって何がどのように記載されているのか比較し元となる規定について学びます。そして東京証券取引所と日本証券業協会が連携で行っている株式学習ゲームを利用しながら、株式取引につき会社法の側面から学習します。「生きている会社法」を知るために判例をいくつか選び、プレゼンテーションと討論を実施します。

松田先生:私のゼミナールでは、税金についての裁判の判決文を読んで討論をしています。判決文を事前に読んできてもらって、「この条文はどう読むべきだと思いますか」、「判決の論理は説得力があると思いますか」など、さまざまな点についてみんなでディスカッションを行い、ほかの人の意見もよく聞きながら理解を深めるようにしています。
稲葉先生:私のゼミナールは「財務会計及び税務会計の基本問題」をテーマとして、3年次にはグループ研究に取り組みます。3年生の目標は奨学論文を完成させることです。宮川先生、藤田先生のゼミナールと同様に株式学習ゲームにも取り組み、実社会の動きと会計の数値の関連性にも意識を向けるようにしています。ゼミナール大会では自分たちで調べて考察した奨学論文の内容を発表しています。4年次は3年生の奨学論文執筆で身に着けたスキルを使って卒業論文に取り組みます。
Q17-033年ゼミナールの授業の様子。
李先生:私のゼミナールでは、社会的および組織的な文脈とのかかわりで、会計がどのように役立つ可能性があるのかについて学びます。近年はSDGsやESGなど、社会問題への関心が高いのですが、ゼミナールでは、まず学生たちが自ら関心がある社会・組織の問題を取り上げ、関連する組織や関係者にインタビューを行ったり、アンケート調査を実施したりすることなどを通じて、その問題を実践的に、より深く理解することから始めます。次に、広い意味における社会と組織のマネジメントやコントロールの手段としての会計が、その問題解決にどのような役割を果たす可能性があるのかについて、文献研究と経験的研究を通じて検討し、理解を深めることを目標とします。


教員が伝える授業のリアル