FACULTY OF COMMERCE
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日本語科目

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商学部では、高度な日本語能力を修得し、日本語を利用してビジネスシーンで活躍できるビジネスパーソンの育成を行っています。今回は、日本語科目担当の市原先生に日本語教育のねらいや学びのポイント、授業の特徴や資格取得等について、Q&A形式で聞いてみました。
日本語科目
1
Question
どうして商学部で日本語を学ぶのですか?
市原先生:日本人学生・留学生問わず日本国内にいる以上、日本語は生活に切っても切り離せないコミュニケーションツールです。言語として切り離して考えるのではなく、経営・経済・会計・社会・観光・文学・文化・心理・福祉などグローバル化が進む国際社会を総合的にみつめ、そこから自身が学んだ分野を表現・発信してくためには、自身の日本語能力を高めておく必要があります。
2
Question
商学部ではどのような日本語を学びますか?
市原先生:多くの人が、「正しい日本語」=「正しい文法規則と語彙」だと思っているでしょう。その考え方は今すぐにやめましょう。「正しい日本語」=「日本語を母語とする一般通常人に、普遍的に通じるもの」が、ふさわしい解釈ではないでしょうか。「円滑・簡潔・心を込めた言葉」、これこそが人と人とが交流するうえで重要になってくるのではないでしょうか。商学部で学ぶ日本語は、基礎固めをしたあとに、慇懃無礼な印象や相手に不快感を与える態度にならないよう、日本事情をふまえた日本の言語を学びます。
3
Question
ビジネス日本語って何ですか?
市原先生:よく、日本人学生からは「アルバイトで使える敬語を教えてほしい」とか留学生からは「ビジネス日本語だけを授業で扱ってほしい」という声がありますが、「ビジネス日本語」という日本語はありません。また、アルバイトで用いられている敬語は「マニュアル敬語」というもので、一定の質とサービスを保つための決まり文句にすぎません。ビジネス社会で必要な日本語は、「立ち居振る舞い」も含めたマナーを理解した上での日本語のコミュニケーション能力」となります。日本語の基礎力なくして、この能力は伸びていきません。学生の皆さんは、自分の普段話している言葉を振り返ってみましょう。
4
Question
日本語のゼミナールはありますか?何を学べますか?
市原先生:2年生では、留学生のみの日本語のゼミナールがあります。そこでは、JLPTをはじめとする検定対策を行っています。しかし、日本語能力を伸ばすには、日本文化を理解することが大切です。ゼミナール生がそれぞれ持ち寄った疑問を「日本人の気質・思考パターン」「食生活」「自然との向き合い方」「慣習」「建築」「宗教」など、毎回テーマを決めて調べ学習や郊外散策をしています。
3・4年生のゼミナールでは日本人学生と留学生が一緒に活動しています。商品の売れ行きを左右するキャッチコピーやCMの仕組みを解明し、流通や社会経済と言葉の相関関係を解明したり、場の空気・話者の態度・表情・声のトーン・真意などの「ノンバーバルコミュニケーション」に敏感になるようなエクササイズを通じて社会にアンテナをはる力をつけていきます。
Q042年ゼミナールでは、『ESOPO NO FABVLAS』『伊曾保物語』『イソップ物語』を読み比べ、日本語の歴史や変遷を学んでいます。
5
Question
日本語の資格検定試験について教えてください。
市原先生:留学生についていえば、JLP・BJTを受験し、自分の日本語の基礎力を確認しましょう。この検定だけでは大学生とは言えません。日本社会で生きていくためには、形式的な日本語をただ公式のように覚えるのではなく、実際に人々の間で使われている文化や気質、社会にあふれるデータの取捨選択ができる能力が必要です。そのために、すべての日本語を使う人のための「日本語検定」取得を目指しましょう。それと同時に「感じの良い」人柄をあらわすような日本語を使うにはどうしたらよいか。「表情」「態度」「振る舞い」「言葉遣い」「話し方」「マナー」の総合能力を問う秘書検定の受験も推奨します。日本語検定3級と秘書検定2級に合格すれば、秘書実務士という資格も取得できます。私たちは、それに向けての対策や実践的な活動で、合格をサポートします。
留学生・日本人学生問わず、教養として日本の各企業や商工会で評価される資格取得を目指すとよいでしょう。
6
Question
日本企業や日系企業に就職したいのですが、どれくらいの日本語の能力が必要でしょうか?
市原先生:日本企業や日系企業に就職し、その中で活躍していくためには、職種に関係なく高い日本語能力とコミュニケーション能力が必要です。社会は、日本人、外国人にかかわらず、いつでも誰かが助けてくれる、代行してくれるという環境ではないということを頭に入れておかなければなりません。一人で業務を遂行していくためには、業務上必要な言葉はもちろん、場面を考えた敬語、説明説得の力、議事録や情報収集の結果を記録する力が求められます。
留学生は、日本で仕事をすることの意味を自分自身の中で明確にしておかなければなりません。そして、日本人学生と肩を並べて就職活動を行うには、それに必要な技能・ 資質などの基本的な能力がなければスタートラインにすら立てません。
日本人学生は、TPOに応じた適切な発話や文章を書くことができ、それによって円滑なコミュニケーションが図れることが求められるでしょう。
7
Question
拓大商学部では、留学生は専門の授業や専門のゼミナールを日本人学生と一緒に日本語で学ぶと聞きました。ついていけるか不安です。どれくらいの日本語の能力が必要でしょうか?
市原先生:先ほども述べましたが、留学生は2年生に進学するまでにJLPT1級を取得しましょう。JLPT1級は日本人の国語能力に換算すると、中学生から高校生程度です。街中にいる小中学生は年齢は低くても上手にコミュニケーションが図れていると思います。専門分野を学ぶには、幅広い分野について書かかれた論説や評論、論理的に複雑な文章、抽象度の高い文章の読解が求められます。文化的な視点や詳細な表現意図を理解するためには、留学生と日本人学生がそれぞれのバックグラウンドで培った知識をもとに協働していくことが大切です。
Q07
日本人学生も留学生も母国のことを深く知ることが大切です。1年生の「日本語入門」クラスでは、「母国や興味のある国を調べよう!」と題し、図書館を利用した調べ学習を実施しています。このチームは台湾について調査中のようです。


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